ヴィンテージ・ブランケット&ビーチ・ブランケットの誕生秘話を少し。
今治市の工場視察で複数のファクトリーを巡っていたところ、とあるファクトリーの片隅に埃の被った古い織り機(織機)がありました(中央のご年配の女性の奥に鎮座しております 笑)今では豊田自動織機のものが市場の織機のほとんどを占めておりますが、ここに眠っていたのは今では大変珍しい旧式の織機でした(ちなみに豊田自動織機とは世界的メーカーであるトヨタ自動車の源流にあたる会社です)
今ではジャガート織りは”コンピュータージャガート”と言いまして、パソコンなどからそのままデータを入力すると自動的に製品が仕上がるハイテクな織機が主流ですが、このヴィンテージ感漂う織機は今では博物館クラスの”紙型”を使用する織り機でした(型紙についての記事はこちら)
この紙型は柄ごとに穴が空いており、現代のコンピューターの基礎となったものらしいです(どうもコンピューターの基本は2進数(0と1)で動いているようで….詳しくは分かりませんが 汗)
今どき(失礼な言い回しですが)この様な旧式の織機を使って作る物など殆ど存在せず、最初は当然断られました。しかし、こんなに魅力的なものは中々お目にかかれない!
少しだけ作動してもらうと、なんと!まだ動くではないですか!!
しかし次なる問題が…..この旧織機を扱える人材が居ない….そこで冒頭の画像の人物の登場です。彼はこの業界の大ベテランで既にご高齢の為セミリタイヤ中の身….そこで何とか今回の案件の為に現場復帰して頂きました。
旧織機の取り扱いには高度な調整の技術などがシビアに関係し、高い技術と豊富な経験がものを言う様です。また、今回のヴィンテージコットンラグは基本コンセプトとして『日本にジャガートパイル織りが伝わった当時を再現』としておりますので、通常の製品よりも太い糸や織り幅のピッチの調整などで表現する”ネップ感”など絶妙な調整が必要なのです。
こういった理由から、実際に製品として上がってくるのは全体の約2/3程度…..つまり60〜70%程度しか本製品にはなりません。また、現代の織機に比べ明らかな生産性の低さや取り扱える職人さんが少ない点、この織機も日本に数台しか現存しない理由などで年間生産数が極少数しかまかなえない”幻の逸品”となっているのです。
そんな特別なファクトリーの内部を最後にご覧下さい。
大変歴史のある古いファクトリーですが、整理整頓が徹底しており仕事がきちっとされている事が伝わってきます。職人さんと古き良き昭和の雰囲気もまだまだ健在ですのでぜひ100歳までとは言わず100歳過ぎてもがんばってもらいたいですね!
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