今さえよければそれでいい?〜温故知新〜

みなさん、アウトドアはお好きですか?
忙しい日常から自然の中で解放される「何もしなくていい」時間ってとても贅沢ですよね!

今回はその大切な自然を少しでも守っていければとのお話です。パイル製品作りの最初の工程である糸づくり。
通常の糸は数本の繊維の束を捻って(撚って:よって)1本の糸を作り上げます。さらにその糸を2本撚って規定の太さに糸を束ね織機で織り上げます。

この時最新のオートメイションマシンで作成する場合、マシンの織る速さが超高速のため糸に高いテンションがかかっても切れにくい様にコーティングを施し糸を硬くして使用します。
もちろん高速マシンで作成することで短時間で大量の製品を作り出すことができるメリットもありますが、最終的に製品とする際に大量の水と薬品で洗浄を施さなくてはなりません…またどうしてもその工程上硬いタオルに仕上がる傾向にあり、それを防ぐため多くの柔軟剤も必要とします。

そこで技術大国日本、そういったデメリットをカバーする新たな技術が生まれました。
ここで今回の裏テーマである”無撚糸(むねんし)タオル”の登場です。

この無撚糸タオルは最近人気の”やわらか・ふっくら”タオルの代表格。
先ほどの繊維の束を撚らずに織り上げるためふんわりやわらかな肌触りになります。
確かに素晴らしい技術ですし開発した方々には頭が下がります。

ただそんな柔らかい繊維状態の糸をどうやって織り上げているのか?

当然そこには語られない秘密があります。
この無撚糸を織り上げる際、実はお湯(薬品含む)で溶ける”水溶性ビニロン”のベースとなる糸を織り込むことで高速マシンのテンションに打ち勝つ糸に仕上げるのです。

当然織り上がった後にはそのままでは硬い仕上がりになっており、そのナイロンのベース糸を溶かす作業が必要になってきます。そう、ここでもさらに大量の水が必要となり膨大な汚染水が排出されます。その汚染水は…..これ以上はみなさんのご想像にお任せします。

そうやって出来た無撚糸タオルは確かに肌触りが抜群です。
しかし、一見製品としては万能な無撚糸タオルですが大きな欠点があるのです。
それは『耐久性が悪い』のです。極端な言い方をすれば

店頭で売っている最初の状態が最高なのです。

つまり1回でも洗濯をしてしまうと劣化が始まります。
近頃よく聞く「最近のタオルは洗うとすぐに固くなる」と言うのはこの無撚糸を使っている場合が多いのかもしれません(もちろん上記の高速マシン用コーティング糸の可能性もあります)

本質が軽視される世知辛い世の中の流れ、この様な製品が好まれる風潮でもあるのでしょう。
まだまだ使えるタオルでも固くなれはすぐに捨て、安価でわかりやすい製品に飛びつく….まさに大量生産・大量消費のサイクルの真っただ中にある様な気がしてなりません(個人的価値観ですが)

僕たちはそんなタオル業界に一石を投じたい(大げさですが)そんな思いで手間暇はかかりますが”長く愛用できる製品作り”を目指しています。
弊社提携ファクトリーで織り上げる製品は大量数量は作れません。
旧式の織機で生産することは何も”雰囲気”だけが良いわけではありません。

ゆっくり織り上げることで多くのメリットもあるのです。

ゆっくりしか織れない織機で織り上げることで余計なテンションが糸にかかることがなくストレスが少ない織り方が可能です。そのため通常の糸のコーテイングは最小限に抑え織り上げることでコットン本来の性能を余すことなく発揮、さらに”甘撚り”といわれる独自の製法(糸にかかるテンションが低いため甘めに糸を撚うことができるが技術が必要)で作ることで空気を多く含める様な織り方が可能になり、極厚の織りでありながら信じられないほどの『吸水性』『速乾性』を発揮することができるのです。

普通であれば忘れ去られ”遅れた技術”と揶揄される製法でありながら、実は製品として純粋に比べた場合はるかに昔の技術で作られた製品の方が機能的にも感覚的にも優れているのではないか?そう思わずにはいられないのであります。

さあ、皆さんもぜひ『使い込んでこそ実力を発揮する』
共に時を刻めるそんな製品を一度手にとってみてください、そう次世代の地球のためにも。

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