Ninja〜世を忍ぶ真の実力者〜

今回は弊社のパイル製品のフラッグシップラインである『ヴィンテージ・ブランケット&ビーチ・ブランケット』に付けております「忍 (SHINOBI) LABEL」について少し。

なぜこの様なラベルにしたのか?それはこの製品が生まれるきっかけまで遡ります。
以前にもこの製品の誕生秘話については少し述べましたが、今回はさらに突っ込んだ世には出ない秘話をお話ししたいと思います。

通常パイル製品の工程をイメージすると真っ先に上がる存在がタオルを織る職人さんですが、今回は名脇役にスポットを当てていきたいと思います。

上記画像の作業はタオルの設計図に基づいて並べられた糸に、適度なテンションをかけて巻き取ることで、様々な表情のタオルを織る基本ベースとなる「伸べ」を作る工程です。

全て一本一本手で張っていく「伸べ師」さんの腕の見せ所なのですが、この作業で糸の掛け違いが起きると織り上げた際に柄の色味が違ってしまい製品として世に出せなくなってしまいます。

この伸べ師さん、もう20年以上ミスをしたことが無いらしく隠れたレジェンド職人の一人なのです。今ではオートメイションの織り機でこの作業は必要がなくなってしまい、古い織り機を使用している工場自体も大変少なくなってしまったので職業的にも貴重な存在となりました。

次に染色&洗い工場について。
なぜ今治でタオル産業が盛んになったのか?というお話は以前のブログ記事『なぜ今治なのか?』にも書かせていただきましたが、染色・洗いの工程では大量の水を使うが故にどこの国でも繊維業が栄える地域は水源が豊富な場所に産業が起こります。

今では多くの工場は最新のマシンへの切り替えが進み今治の産業も大きく様変わりしてきましたが、ここの染色工場は拘った小ロットの案件にも対応できるように昔ながらの小規模な設備を残してくれています。
それらは40年も前のものですが大切に使用し、今でも現役で頑張っています。小規模な案件は出来るだけ無駄の出ない様に作業を行い、さらに環境を考えた手法も取っています。

『餅は餅屋』という言葉がありますが、その道のプロ達が責任を全うし作り上げる、それが本来の今治の姿です。

ほとんどの方は”今治って大きなタオル工場がたくさんあって・・・”と大規模な生産工場のイメージが強い様ですが、昔ながらの今治のものづくりの仕方は半径1〜2km以内にこの様な様々な工場がありチームを組んで製品を仕上げるのが今治スタイルなのです。

次に今回の目玉、柄を生み出す型紙を制作してくれるカード屋さんです。
こちらの小さな穴の空いた紙の様なものは、柄を織る際に織り機に読み込ませるいわゆる”型紙”です。今ではもう見かけることはまず無い貴重な機械で、こちらもすでに半世紀近く経っており今治でも3台程度とか…

まずデザインデータから変換技術者がひと編みひと編みの柄を専用のソフトにて1ドットずつ修正を重ね型紙変換機に読み込ませます。しかし昔のカード制作機械なので直接は読み込めません。

そこで一度フロッピーディスク!? に記録し後付けの変換機(下記画像の右側のブラウン管の機械)に読み込ませて初めて型紙にパンチング処理(穴あけ加工)が施せるのです。

見てください、このアナログさ!
この変換機も大変貴重な代物です、壊れたらと考えると恐ろしい….

ここまで来てやっとこの型紙が完成します。気の遠くなる様な作業です….カード作成の全ての工程に人が関わって作り出しているのです。
最新マシンはもちろん、それなりに少し古い”マシンジャガード織り機”でもこの型紙カードは必要ありません。デザインデータからそのままコンピュータージャガード織機に読み込んで”ポン”です。

カード屋さんはこの道50年以上続けているそうですが、「近い将来”消えゆく職業”の最先鋒かもしれない」とポツリ呟いていました。

この型紙カードを織り工場の旧式の織機にセットし、ここでやっと製品として織り上げられます。
ここまでくれば後は自動で、とはもちろんいきません。

よく糸が引っかかってしまいその都度調整が必要なのです。
この調整が数値化できず、熟練の技と感覚が必要になるとてもシビアな作業なのです。
しかしながら、この織り機でしか実現できない特別な製法で仕上げる製品にはオートメイションのマシンでは決して再現できない”雰囲気”を持った織り上がりと質感、肌触りが再現できるのです。

最後の工程は別の縫製工場で仕上げ縫いを行いみなさんの手元に届きます。
当然のことですが一枚一枚全て手作業にて人が縫い上げます。

昔ながらの製法で一枚のタオルを作る上でこれだけの“人の手を介して”製品が出来上がっていく事実、またこの方達の存在はマーケットではほとんど触れられることがありません。
決して自ら表には出ない『忍びゆく技術』を持った方々を見ていると昔、忍びの術を駆使し陰ながらに時代を動かした”忍びの者”たちとイメージが被るのは僕だけでしょうか?

僕たちは世間には知られていない技術を駆使して作られた製品と職人さんたちの存在を少しでも世に知ってほしいとの思いから『忍LABEL』を取り付けて拘りぬいた製品を世に送り出しています。

少し余談ですが日本も含め世界中で大人気の今治タオル、この現状を知っている身としては”あんなに今治で生産できるの?”と疑問が湧いてきます…. この件は今はあまり触れないでおきますが。
この様に伝統的な製法を頑なに守り続け、その道のプロである専業会社と職人の手を渡って作り出される製品こそ”本物の今治産”と言えるのではないでしょうか?

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